今回は、レッドストーン回路の基本ながら、最も重要な性質を持つレッドストーントーチとレッドストーンリピーター、そして基本的な論理回路である、NOT回路、OR回路、AND回路について解説します。

レッドストーン回路を組むにあたって、今回は必要不可欠と言っていいでしょう。

更新履歴
2011年10月16日 論理回路などの「論理」を「理論」と書いていた恥ずかしい誤字を修正

第2回 遅延問題
レッドストーントーチの深い性質
レッドストーンリピーターの深い性質
論理回路の基本
NOT回路
OR回路
AND回路
機械に真下から繋げる方法
論理回路の原理的なお話
Tips

遅延問題

ある程度の規模のレッドストーン回路を組む上で、避けて通れないのが遅延問題です。
遅延が大きくなると、スイッチ(入力装置)をオンにして、実際に機械(出力装置)が反応するまでの速度が遅くなります。
用途によっては遅延を気にしなくていい場合もありますが、往々にして頭を悩ます問題になることがあります。

まず、遅延が起こらないケースですが、レッドストーントーチとレッドストーンリピーターを使わない場合、遅延は起こりません。レッドストーンパウダーだけの回路の場合、そのワイヤーの長さが1ブロックでも、15ブロックでも、同時に処理されます。

遅延が起こるのは、レッドストーントーチを通過した場合とレッドストーンリピーターを通過した場合です。遅延する時間は一定で、例えば、レッドストーントーチを2本通過した時間は、1本通過した時間の2倍になります。レッドストーンリピーターも同様に遅延を起こしますが、この長さが調整可能です。


なお、この遅延する時間の単位を、チック(tick)といいます。パソコンの動作環境やマルチでのサーバー環境にも依存しますが、通常は、1チックは0.1秒です。


レッドストーントーチの深い性質

レッドストーントーチは動力源となる以外にも重大な性質があり、それを利用して複雑な回路を作ることができます。
なお、トーチは慣例的にブロックに設置することを刺すと言う事があります。上に設置することを縦刺し、横に設置することを横刺しとも言います。

動力源

まず動力源としてですが、トーチの東西南北下と例外的に上に接続します。上については本章の後半で解説します。なお、スイッチと異なり、トーチを設置してあるブロックからは動力は送られません。


トーチと設置ブロックの関係。  ここ重要、テストに出ます!!

そしてもう一つの重大な性質ですが、レッドストーントーチはそのものだけではなく、それを設置するブロックに重要な役割があります。
その設置ブロックに動力が伝達された場合、トーチはオフになります。そして、そこから接続される回路もオフになります。逆に、ブロックに動力が伝わっていない場合は、トーチがオンになります。


理解しましたか? これはレッドストーン回路で最も重要な性質です。これが分からないと、回路を組むことは出来ないと言っていいでしょう。

上図では横指しですが、縦刺しも同様です。縦刺しの場合、トーチの先の回路は必然的に一段上になります。


なお、設置するブロックはトーチが刺さっているブロックで、隣接しているブロックでは無いので注意して下さい。次のような設置の場合は意味を成しません。併せてよくある失敗例もいくつか紹介しておきます。


ブロックには複数のトーチが刺さっていても構いません。すべてのトーチは同じように動作します。
複数の動力が来ている場合はいずれか一つでもオンがあれば、トーチはオフになります。

動力源としての上への送力の例外

さて、最初に書いた動力を送る“上” の例外ですが、初心者の方はとりあえず無視しても構いません。
レッドストーントーチの上はレッドストーンパウダーを設置すことが出来ませんが、トーチの上にブロック(但しガラスは空気扱いなので不可)がある場合、そのブロックが動力源に変わり、その東西南北及び上へ動力を流します。


なお、そのブロックからはワイヤーだけでなく、トーチや機械自体へも動力を送ることが出来ます。これによって応用範囲は広がりますが、それは追々説明していきます。


トーチ真上のブロックが機械自体でも可能です。但しその場合、その機械が動力源になるか否かは機械によって違います。ピストン、ハッチは動力源にはなりませんが、音ブロックとディスペンサーは動力源になります(ドアは設置自体が不可)


接続バグ

前回の「接続での注意とバグ」にも書きましたが、レッドストーン回路のワイヤーの接続はどうもバグがあるようです。
レッドストーントーチを上に設置されているブロックへのワイヤーの接続は、斜め横からワイヤーを這わすと、スクリーンショットのように接続しているように見えて、実際には繋がっていないという現象が生じるので注意して下さい。
前回は解説を省いてしまいましたが、本来ならトーチは消えるはずですよね。

ブロックへの入力は必ず直線で入力するようにします。もしくはトーチを横に刺している場合、ワイヤーブロックの上まで引けば、斜めから入力も可能です。


また、トーチ縦刺しの場合、1ブロック間隔を置いて、レッドストーンリピーターや押しボタン、レバースイッチ、動力化したブロック(下図のピンクブロック。リピーター先の動力化は次章で解説)を設置した場合、正しく動作しません。


その他

レッドストーントーチは明るく光っていますが、ぎりぎりモンスターが湧く明るさなので、タイマツの代わりにはなりません。回路室の部屋を作った場合、普通のタイマツを置き忘れると、悲惨なことになるので注意しましょう。


レッドストーンリピーターの深い性質

前回、レッドストーン回路の延長にレッドストーンリピーターを使うと書きましたが、延長以外にもレッドストーンリピーターには面白い性質があります。

遅延制御

レッドストーンリピーターはワイヤーより、微妙に遅れて動力が伝わります。今回の冒頭で書いた遅延ですね。
実はレッドストーンリピーターでは、この遅延を変えることができます。リピーターを設置した後に、右クリックをすることで4段階で切り替えることができます。
この遅延の段階はレッドストーントーチ通過1回分と同じです。専門単位で言えば 1チック分となります。


この遅延制御によって、動作を遅らせて実行させることや、他の動作とタイミングを合わせることができます。なお、さらに遅らせたい場合は、複数のリピーターを連続させればOKです。

指向性のおさらい

繰り返しとなりますが、レッドストーンリピーターには指向性があり、よく見ると分かると思いますが、△マークがあり、その方向にしか流れません。つまり逆流を防ぐこともできます。また、真横のワイヤーにも影響を受けません。



透過性

この節は若干難しいです。必ずしも必要ではないので、初心者の方は、こんな風に接続することがあるよ、程度で流してしまっても構いません。

接続先にブロックがある場合、それを透過して接続するという性質も持ちます(但しガラスは空気扱いなので不可)
厳密にはそのブロックが動力源に変わります。リピーターの延長線上だけではなく、東西南北及び上下にも動力を送ります。


なお、透過性は接続前にもあり、前にブロックが存在する場合は、そのブロックがワイヤー扱いになり、レッドストーンリピーターに接続されます。
なお、そのブロックはリピーターにしか動力を流しません。前方のそれとは異なり横や上下には流れません。逆に、図では後方からの接続ですが、東西南北及び上からワイヤーで接続されても、動力は透過されリピーターに流れます。


接続先のブロックからワイヤーに流す場合、ブロックとワイヤーは隣接していれば流れますが、ワイヤーからブロックに流す場合、ブロックとワイヤーは繋がってなければなりません。この関係は、スイッチ=ワイヤー、ワイヤー=機械 と同じです。

ちなみに、リピーター・ブロック・リピーターと設置すると真ん中のブロックは両方の性質を持ちます。

指向性も併せて動力の流れる方向をまとめると次ぎのようになります。



これらを含め、回路作りでいろいろ役に立つこともありますが、これは次々回の解説にていくつか紹介します。

機械/スイッチとの接続上の注意

本節も複雑なので、初心者の方は、リピーターと機械とは接続に相性があるので要注意、くらいで流してしまって構いません。

基本的にリピーターもワイヤーと同様に機械に直接繋ぐことができます。但し例外としてディスペンサーは動作しません。

機械の隣接したブロックへは、機械によって動作するものもあれば、しないものもあります。具体的には ピストン と ブースターレール のみ動作し、それ以外は動作しません。



スイッチに関しては全てのスイッチ類に関して、スイッチ自体とその設置ブロック 共にリピーターに接続できます。

なお、スイッチの設置ブロック、機械の隣接ブロック共に、それへのブロックへリピーターの透過性を用いた接続はできません。


接続表示バグ

レッドストーントーチと同じく前回の「接続での注意とバグ」に書きましたが、ワイヤーが繋がっていないように見えて、実は繋がっているというバグがあるので注意して下さい。基本的に入出力部分が並んでいれば繋がっていると思っていいでしょう。


論理回路の基本

さて、ここから本格的に論理回路について解説します。

まず、今回と次回で、論理回路の中でも基本的な回路、通称「基本回路」について解説します。

基本回路は簡単に書けば、入力の組み合わせによって出力が決定される回路の事です。例えば、「2つのレバースイッチ(入力)があり、その両方がオンの時のみドア(出力)を開けることが出来る」ような仕組みを作ることができます。
ちなみに、パソコンや携帯電話、ゲーム機など世の中の全ての電子機器は基本回路によって作られています。マインクラフトでもかなり複雑な装置を作ることが可能です。

なお、マインクラフトでは有志の方によって既に定番の論理回路は最適なものが出来ていますので、論理回路を作るというより、その論理回路をいかに自分の回路に組み入れるか、が大切になってきます。

定番の論理回路でも大抵は複数のパターンがあり、大きさが異なったり、レッドストーントーチを少なくする為の工夫がされていたりします。本解説では、一般的に作りやすいものを中心に紹介します。
もし、自分のところの設置予定場所に合わないような場合は、日本語Wikiや、英語版Wikiなども探してみて下さい。

入力と出力

さて、いきなり入力、出力という専門用語が出てきましたが、論理回路では入ってくる動力と、出ていく動力が明確に異なります。入ってくるのを入力、出ていくのを出力と呼びます。一方通行ですので、逆に論理回路を作ることは出来ません。

なお、入力と出力という表現は一つの論理回路だけではなく、全体の回路で大きな単位で使われたり、トーチと設置ブロックだけという小さな単位で使われたりするので、注意して下さい。


表の読み方

以下、論理回路を解説するにあたり、入力と出力の対応表(専門用語で真理値表といいます)を載せてあります。これの見方ですが、まず オン がオン、 オン がオフです。入力がAとBの2つある場合、Aの状態とBの状態から出力される状態を表します。
例えば、次の表の2段目の場合、入力Aがオン オン で入力Bがオフ オフ の場合、出力Oはオフ オフ になることを示しています。

※とりあえず初見の場合は図のAとBのOのワイヤー部分のみに着目して下さい。

図の読み方

図及びスクリーンショットは、Wikiなどに載っている慣例に従って、1段目のブロックを黄色羊毛、上に乗せるブロックを灰色羊毛にしています。また、図も読み易いように、今までのものより若干デフォルメ化しています。図中で出てくる行・列は、縦が行、横が列です。

なお、基本回路の説明(今回と次回)では入力はすべてオンの状態にしてあるので、Wikiなどの図とワイヤーがオンとオフの状態が異なる場合があります。
また、左が入力、右が出力という形式で描いています。

ページのサイズの都合上、スクリーンショットはサムネイルで表示しています。クリックすると大きな画像で表示します。


各凡例は、クリックでスクリーンショットを表示します。
2段目の灰色のブロックは、その下(地面)にワイヤーもしくはトーチがあります。上ではありませんので注意して下さい。
遅延は設置した直後の何もしていない状態が1、最大が4となります。
今回の解説(全5回)の回路図では2段以上は出てきません。


NOT回路

NOT回路は、入力とは逆の状態を出力します。すなわち入力がオンの時は出力はオフに、入力がオフの時は出力はオンにします。

この特性、実はレッドストーントーチのところで説明しています。つまりはレッドストーントーチと、それが刺してあるブロック、この二つの組み合わせ自体が、NOT回路そのものとなります。

ちなみに、NOT(ノット) は英語の否定語の not のことで、日本語では否定と表します。

定番回路

NOT回路は2通りあります。いずれの場合もレッドストーントーチを1つ使います。この2つは両方ともよく使うので、覚えておきましょう。





OR回路

OR回路は、2つの入力のどちらかがオンの時に出力をオンにし、両方がオフの時のみ出力をオフにします。
なお、「どちらか」というと片方のみの気がしますが、両方がオンの時も含みます。

実は論理回路と書きましたが、マインクラフトではワイヤーのみで実現できます。
ワイヤーのみなので、本回路だけは論理回路にしては例外的に指向性がありません。指向性を持たせたい場合は、レッドストーンリピーターを出力側に挟むといいでしょう。

現実的にどんな時に使うかは、相方の回路の状態に関係なく何かをしたい時などに活用します。

OR(オア) は英語の「or」のことで、日本語では正式には「論理和」と表しますが、一般的に「または」と表現します。

定番回路

Wiki の方にはレッドストーントーチを用いた例も載っていますが、ワイヤーのみか、リピーター挟むのみで事足りることが多いです。




AND回路

AND回路は、2つの入力の両方がオンの時に出力をオンにし、どちらかがオフの時に出力をオフにします。
これも「どちらか」と書いていますが、両方オフの時も含みます。

現実的にどんな時に使うかは、相手の回路の状態によって何かをしたい時などに活用します。

AND(アンド) は英語の「and」のことで、日本語では「論理積」と表しますが、一般的には「かつ」と表現します。

定番回路

基本は作りやすいパターン1のみでほとんど事足ります。レッドストーン回路では良く使うので、覚えておきましょう。
パターン1' は縦トーチを横に刺しただけで、回路の設計でどうしても縦トーチを使いたくない場合に使うといいでしょう。
パターン2はよほどスペースの制限が無い以外では使いません。こんなのもあるということだけ覚えておけばいいでしょう。





参考) パターン1、パターン2 日本語Wiki


機械に真下から繋げる方法

前回、ワイヤーから直接上のブロックに設置された機械に動力を送ることが出来ないと書きましたが、真下から繋げるテクニックもあります。

それは、今回のレッドストーントーチの章に書いた、動力を送る上の例外というのを使います。重複しますが、トーチの上にブロックがある場合、そのブロックに設置されているワイヤーまたは機械自身に動力を伝えます。
つまり、下からレッドストーントーチ、適当なブロック、機械の順に設置すれば真下から動力を送ることができます。


ただし、注意して下さい。レッドストーントーチの特性上、入ってくる動力がオンの場合はトーチはオフになり、入ってくる動力がオフの場合にオンとなります。すなわち、機械をオンにしたい時にはトーチが刺さっているブロックには動力をオフに、機械をオフにしたい時にはトーチが刺さっているブロックに動力をオンにする必要があります。

では、回路がオンの時に機械をオンにしたい場合、オフの時に機械をオフにしたい場合はどうしたらいいでしょう。 もうお分かりですね。途中に NOT回路 を挟めばいいのです。

論理回路の原理的なお話

この章は、ちょっとしたコラム的な内容です。論理回路はワイヤーとレッドストーントーチだけで表現可能なのですが、それは何故か。その真相に迫ります。

レッドストーントーチとワイヤーだけで直接表現可能なのは、NOT回路 と OR回路 だけなのですが、実はこれだけで十分なのです。

論理の世界では「A または B の否定 は Aの否定 かつ Bの否定」という法則が存在します。例えば「私はカレーラーメンも好きではない」は「私はカレーが好きではなくなおかつラーメンも好きではない」と置き換えられます。つまり NOT回路(ではない) と OR回路(も) から AND回路(なおかつ) が作ることが出来るのです。ちなみに、この法則をド・モルガンの法則と言います。


このように、非常にシンプルなものから複雑な回路が組みあがっているわけです。不思議ですね。ちなみに、ドさんは1806年生まれ。この法則が200年経っても使われていると思うとね、ドさんの ドや顔 が目に浮かびます。


Tips

回路のテスト用地を確保しておきましょう。
複雑な回路を、初めて現場で作るというのも、難しいものがあります。実際に広い場所で作ってみることで、サイズや問題点を把握することも出来ます。

その際に、外の適当な場所でも良いのですが、じっくり考えて夜になってしまっていた、なんて事も多々あります。そこで、モンスターが進入できないようなテスト用地を予め確保しておくことをお勧めします。

用地ですが、回路は結構場所を取るのと、実際には小さく設置するにしてもテスト段階では大きく回路を作ることがある為、これくらいかな、というのより大きめに取って置いた方が無難です。

場所ですが、出来れば砂地がいいです。草の場合は、動物がスポーン(発生)するため、豚が勝手に感圧板を踏んでいた、なんてこともありえます。また、砂地の方が、レッドストーン回路の赤がよく見えます。砂地が無い場合は羊毛を敷いてもいいでしょう。

ちなみに、筆者のテスト用地は、家の近くに実験所、離れたところに第二実験所の二箇所があります。
特集:レッドストーン回路解説
第1回導入:回路の作り方、制限と法則、スイッチ・機械との接続、注意点とバグ など
第2回基本と論理回路:レッドストーントーチ・リピーターの性質、論理回路の基本、NOT回路、OR回路、AND回路、機械との応用的な接続 など
第3回論理回路:NOR回路、NAND回路、XOR回路、IMP回路とその仲間、全入出力パターン、3つ以上の入力 など
第4回回路設計:逆流防止、交差、平行、水平・垂直のスイッチ機械の設置 など
第5回応用回路:パルサー回路、クロック回路、ラッチ回路、Tフリップフロップ など