
ラストの今回は、レッドストーン回路を通常では行うことの出来ない挙動を行う回路や、情報を記憶する回路などを紹介します。
特に後者ではボタンや感圧板など、一時的にオンにしか出来ないものをレバーのように、オンの状態を保持することができるようになります。これによって、レッドストーン回路の用途の幅が大幅に広がります。
なお、今回は回路の特性上と慣例から、定番回路図やスクリーンショットが、以前の基本回路のように入力がいずれもオンの状態や、左から右への流れとはなっておりませんのでご注意下さい。
第5回 | パルサー回路 オフ検出パルサー回路 オンのみ遅延/オフのみ遅延 クロック回路 循環回路 ラッチ回路(RS NORラッチ回路/RS NOR latch) Tフリップフロップ(T Flip-Flip) 双方向リピーター 処理時間延長回路 Tips 終わりに |
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パルサー回路
パルサー回路は、一瞬だけ回路をオンまたはオフにしたい場合に利用します。押しボタンでも同様の挙動となりますが、押しボタンより細かくタイミングを定めることが可能です。レバーや感圧板などでも同様で、レバーを切り替えた瞬間、または感圧板に乗った瞬間だけ回路の状態に変更を加え、直ぐに元に戻ります。
一般的にパルサー回路は非常に早い一瞬の変化を伝えるのに利用しますが、状態変更の時間を細かく厳密に指定することも可能なので、マインクラフトのレッドストーン回路ではタイミングを合わせるのによく使われます。
例えば、オンの状態を3チック(レッドストーントーチ3個分の遅延)だけ伝えたい、などという場合に利用します。
なお通常は、出力は常にオンで入力がオンになった瞬間だけオフになります。これが一般的なパルサー回路の挙動らしいのですが、実質的には、出力は常にオフで入力がオンになった瞬間だけオンにしたいことが多いと思います。その場合、後ろにNOT回路を入れます。その回路も併せて紹介します。
定番回路

パターン2 は、上のリピーターは2以上、下のリピーターは1固定です。
パターン1' 及び パターン2' は入力が出力が一瞬だけオンになる回路です。
パターン2' はリピーターの遅延が上が4、または他のリピーターと並べて4以上にしておきます。




参考) パターン2 英語Wiki
応用回路

簡単な原理説明
パターン1はオフになった状態をリピーターで遅延させた動力が直ぐにオンに戻すことで動作します。パターン2は二つの異なった遅延をIMP回路で判断して、時間差だけを出力します。
オフ検出パルサー回路
通常のパルサー回路の場合、入力オンになった瞬間だけを感知します。回路によっては入力がオフになった瞬間を感知したい場合があります。それがこのオフ検出パルサー回路です。定番回路

リピーターの遅延は、共に上が1固定、下が2以上です。時間を延長したい場合は下の方を大きくして下さい。


参考) パターン1 英語Wiki
簡単な原理説明
前述のパルサー回路でのパターン2のIMP回路へ入る条件を逆にしたものです。片方の入力がオフになると出力オンし、両方の入力がオフになると出力がオフになった際に、出力をオフにする性質を利用しています。オンのみ遅延/オフのみ遅延
ピストンなどで回路を組む場合など、オンとオフでのタイミングが複雑になってくることがあり、特定の条件のみ遅延をさせたいことがあります。入力がオンなった場合のみ動力を遅延させて送る方法と、逆に入力がオフになった場合のみ遅延させて送る方法を紹介します。
オンの時のみ遅延 定番回路
入力がオフになる場合のみ瞬時に伝え、オンにになった場合のみ遅延させます。

オフの時のみ遅延 定番回路
入力がオンになる場合のみ瞬時に伝え、オフにになった場合のみ遅延させます。
回路の逆流を防ぐ為に、下にも遅延1のレッドストーンリピーターを組み込む必要があります。

簡単な原理説明
オンの時に遅延はオンの時のみ遅延は、AND回路によって非遅延と遅延の両方が届いたときに動力が送られます。オフの時の遅延は、OR回路によって非遅延と遅延の両方が届かなくなった時に動力が切れる仕組みです。
回路自体はほんと単純ですけど、気付くのは結構大変でした。筆者は何時間考え悩みました。
クロック回路
クロック回路は、同じ動作を何度も繰り返したい場合に利用します。例えば、ディスペンサーに繋げば、通常はボタンにしてもレバーにしても1度押せば1回しか発射しませんが、クロック回路に接続すると、中身が無くなるまで発射し続けます。定番回路

他の回路に接続するには、適当な場所にワイヤーを繋げればOKです。
さらにゆっくり繰り返したい場合は、リピーターを複数挟みましょう(後述の応用を参照)。

応用回路

応用2 として、別からの動力がオンの場合にのみ、クロック回路が動作するようにする回路です。常時動かすのではなく、何かのタイミングで動作するようにしたい場合は、こっちを利用するといいかと思います。


簡単な原理説明
NOT回路にて、動力をオフにする、その動力が周って来て同じNOT回路をオンにするの繰り返しです。レッドストーンリピーターが登場する以前は複雑なものも多かったですが、リピーターの出現で、上記のような非常に単純な回路で済むようになりました。
応用2の動力がオンになると動作するタイプは、回路の途中に別入力がオンの時に実行するAND回路を含めますが、NOT回路が冗長しているので、それを省略してコンパクトにしています。
循環回路

右図の、上がクロック回路、下図が巡回回路(のループ部)です。
定番回路

入力部分は、パルサー回路がそのまま入っています。
動力を長く保ちたい場合はパルサー回路を、回転を遅くしたい場合はループ側のリピーターの遅延を調整して下さい。

簡単な原理説明
これはクロック回路より単純ですね。短いオンの動力を回路の中を遅延させながら周るだけです。ラッチ回路(RS NORラッチ回路/RS NOR latch)
ラッチ回路はオン/オフの情報を記憶する回路の一つです。記憶とリセットが別々になっているのが特徴です。例えば、二つのスイッチを用意しておき、一つが記憶、一つがリセットのように別々に役割を持たせます。
記憶の入力(図のS)に、一瞬でも動力が伝わると、以降伝わらなくても常に出力(図のQ)はオンの状態になります。そしてリセットの入力(図のR)に、一瞬でも動力が伝わると、出力はオフ状態になります。
なお、RS はレッドストーンではなくて、リセット・セットの略です。
定番回路

パターン1、2 ともに、逆の出力を出す Q も存在します。ここからは記憶されている場合はオフ、記録されていない場合にはオンが出力されます。


参考) パターン1、パターン2 日本語Wiki
簡単な原理説明
実は回路の中央を動力がぐるぐる巡回することで、記録させています。セットはこのぐるぐる回路に動力を入れる機能、リセットはぐるぐる回路の巡回を切ってしまう機能を持っています。Tフリップフロップ(T Flip-Flip)
Tフリップフリップ回路は、オン/オフの情報を記憶する回路の一つで、記憶とリセットが同じになっているのが特徴です。例えば、押しボタンの場合、一回押すと記憶、もう一度押せばリセット、の繰り返しとなります。T は Toggle の略で、いわゆるトグルスイッチのことです。定番回路

パターン1、パターン2 共にリピーターの遅延の量が重要になるので、注意して下さい。




参考) パターン1 日本語Wiki、 パターン2 英語Wiki
簡単な原理説明
パターン1は、コア部分はラッチ回路です。入力(T)の動力が入るたびにラッチ回路は自分を見て、自分の反対の状態をセットします。ただ、それだけでは、自分がオン→オフ→オン と無限ループに陥ってしまうため、前にパルサー回路をつけて、入力する動力の長さを厳密に調整しています。双方向リピーター

双方向に延長したい場合、最初は中間にレッドストーンリピーターを互いに逆方向の向きに2つ設置すれば良いのではないかと思われるかも知れません。筆者も思ってました。しかしこの方法の場合、動力が無限ループしてしまい、うまく動きません。
(ちなみに本解説では紹介していませんが、レッドストーンリピーターを用いない延長方法でも同様です)
下記の回路を組むことで双方向へ動力を送ることが可能です。
定番回路



参考) パターン1 英語Wiki
簡単な原理説明
片方から来た場合、無限ループに陥らないように、戻る方向の弁みたいな機構を動作します(たぶん)。ぶっちゃけ、双方別々の回路を作ってしまった方が楽かも知れません。
処理時間延長回路
パルサー回路で処理時間を有る程度コントロールできますが、例えば時間が数秒単位の長さになる場合、押しボタンでは途中で元の動力が切れてしまい、うまく動作しません。そこで、入力の時間に関わらず、処理時間を延長させる方法を紹介します。
定番回路

パターン1 及び パターン1' は最初のリピーターの遅延は1固定です。




簡単な原理説明
パターン1 と パターン1' はリピーターの前方のブロックの透過性を利用しています。つまり黄色から隣のワイヤーに動力を流します。逆に黄色のブロックに動力が流れることは無いので無限ループにはなりません。パターン1' はより大きくしつつコンパクトにした例です。真ん中のワイヤーは1列でいい気もしますが、接続の都合上途中で切れてしまうタイミングが出るので2列にしておきます。
パターン2 ではラッチ回路を用いて、入力と同時にセットを行い、出力をオンにします。もう片方はリピーターで延々と遅延したあとに、リセットに動力を送り、出力をオフにします。
Tips
レッドストーン回路を実際にマインクラフト内で作るのも一つの醍醐味ではありますが、大きな回路を組む場合は非常に面倒な場合もあります。方眼紙に設計図を書いてもいいのですが、レッドストーン回路と同じ挙動をするシミュレーションソフトがいくつか有志の方が作って公開されています。
最初に登場した Redstone Simulator というソフトはレッドストーンリピーター登場以前に更新が止まってしまっているようなので、それから派生した、Circuit Simulator が今は主流のようです。ピストンにも対応しています。
http://www.minecraftforum.net/topic/429400-circuit-simulator-v081-rek/
(ダウンロード及び実行は自己責任でお願いします。一応、Wikiにも紹介されているものなので、大丈夫だとは思いますが)

簡単な利用方法ですが、左のパレットから選んで中央の方眼紙みたいなところに設置します。
左クリックで設置及び、方向などの変更をします。
右クリックで既に設置してあるものを撤去します。
マウスホイール(中央のぐりぐり)を押すことで、スイッチのオン/オフ、リピーターの遅延の変更 などが行えます。
パレットの中身は基本的に当解説の汎用と同じですが、三角形のはリピーターで〓が遅延数を表しています。スイッチは右上からボタン、レバー、感圧板です。
問題が生じない限り、基本的に右の再生ボタンを常にオンにしておいていいでしょう。
終わりに
今回でレッドストーン回路の解説は終わりです。いかがでしたでしょうか? なるべく分かりやすく、尚且つ記述漏れが無いように気を付けたつもりです。ただ私も、回路の専門家というわけではないので、もし間違った部分等ありましたら、ご指摘頂ければ幸いです。
一応今回で解説回は終わりですが、近いうちにレッドストーン回路を用いた定番の実例をいくつか紹介したいと思います。
また、将来的に、第二段を書くかも知れません。バージョン1.7で登場したピストンを回路に組み込むというアイディアがあるようですし。他にも今回載せきれなかったいろいろ定番回路もあります。もし要望等ありましたら、お気軽にコメントやメールを下さい。ただ筆者の力量が及ばないものは書けませんが…。
初めてブログを訪問頂いている方へ
アクセス解析を見るとレッドストーン回路関連で検索して訪問して頂いている方が多いようです。どうもありがとうございます。もし宜しければブログ本編の開拓記や、テクニックなどの他の特集記事もご覧いただければ幸いです。ツイッターもやっておりますので、良かったらつぶやきにお付き合い下さい。
謝辞
レッドストーン回路の定番パターンを作っているクラフターの方、翻訳及び紹介されている日本語Wikiの編集者の方、動画やブログにて解説されているうp主の方に、感謝を申し上げると共に、敬意を表します。また、本特集記事を書くにあたり、メールやツイッターにてアドバイスを頂いた方、はたまた愚痴を聞いて下さった方、この場を借りてお礼申し上げます。
特集:レッドストーン回路解説 | |
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第1回 | 導入:回路の作り方、制限と法則、スイッチ・機械との接続、注意点とバグ など |
第2回 | 基本と論理回路:レッドストーントーチ・リピーターの性質、論理回路の基本、NOT回路、OR回路、AND回路、機械との応用的な接続 など |
第3回 | 論理回路:NOR回路、NAND回路、XOR回路、IMP回路とその仲間、全入出力パターン、3つ以上の入力 など |
第4回 | 回路設計:逆流防止、交差、平行、水平・垂直のスイッチ機械の設置 など |
第5回 | 応用回路:パルサー回路、クロック回路、ラッチ回路、Tフリップフロップ など |
管理人さんがすごいことだけわかりました!
いずれまた参考にさせていただきます
全5回お疲れ様でした☆